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輝き始めたアフリカ市場 ― エジプト、周辺諸国進出の橋頭堡
2016/12/19

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  ────────────────────  発行  株式会社ジアン (JARN Ltd.)
    eJarnClub通信:輝き始めたアフリカ市場
              — エジプト、周辺諸国進出の橋頭堡
  ─────────────────────  2016年12月19日
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛                                     http://www.ejarn.com
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◇掲載:P1、6、 JARN  2016年9月号
 ▼原文(英字)はこちらから
http://www.ejarn.com/news.aspx?ID=41514

I N D E X
└────────┐
└▼ 序文
└▼ 1. エジプト−アフリカと中東をつなぐ架け橋
   └▼ 1.1. エアコンメーカーの足跡
   └▼ 1.2. エアコン市場の将来性

【序文】
     アフリカのエアコン市場は、日本冷凍空調工業会(日冷工)によると、2012年の242万台から2015年の253万台まで3年間で5%弱の伸びという横這い状態が続いていたが、今年はその状況が一変した。中国の通関統計によると、中国からアフリカへの上半期のエアコン輸出が前年比19%増加している。

     アフリカには外貨不足に悩む国が多く、エアコンが贅沢品として輸入規制されて来たため、市場の発展が遅れた。アフリカの人口は11.4億人に達するが、2015年のエアコン市場の規模は約253万台と少なく、人口が半分近い東南アジアの約1/3に過ぎない。しかもエジプト、ナイジェリア、南アフリカの3か国でアフリカ市場全体の約4割を占めている。

     三大市場の一つ、南アフリカでは、1970年代に高層ビルや鉱山用にターボ冷凍機が年間約200台も販売されるほど空調市場が発展していたが、1980年代以降は国連の経済制裁及び白人政権の崩壊によって経済が混乱し、空調市場も長期間低迷した。しかし、現在、南アフリカは、PACではエジプトと肩を並べており、両国でアフリカのPAC市場全体の約半分を占めている。

     アフリカ市場の特徴としては、所得水準が低いため低価格指向が強い。例外的に南アフリカではR410Aのインバーター機が普及しているが、その他の市場は、いずれも安価なR22のノンインバーター機によって占められている。また、空調の歴史が浅く、ウインド型エアコンが普及する前にスプリット型エアコンに移行したため、RAC市場では壁掛型スプリットが主流で、ウインド型比率は15%程度と低い。また、アフリカでは冷房専用機が主流だが、南アフリカやエジプトなどはヒートポンプ市場。

     景気の低迷、ナイジェリアのボコ・ハラムのような過激派の台頭、部族・民族間の紛争、HIVやエボラ出血熱の蔓延など、エアコン市場の発展を阻害する要因が多々あるため、日系各社は、アフリカに対して消極的な姿勢を取り続けて来た。一方、中国の空調業界は政府の資源外交の一環として積極的なアクションを取っている。このため、高関税対策としてナイジェリアやケニアなどに中国メーカーのエアコン組立工場があり、中国の関与するプロジェクトでは中国の空調メーカーが有利になることが多い。

【エジプト−アフリカと中東をつなぐ架け橋】

【エアコンメーカーの足跡】
     アフリカ最大の空調市場であるエジプトでは、原則的に完成品の輸入が規制されて来たため、現地でエアコンを組み立てるための圧縮機やR22冷媒の中国からの輸入が増加傾向にある。2010年、美的がキャリアの合弁企業Miracoの株式32.5%を買収し、エジプト及び周辺国向けのエアコン生産を拡大している。また、同じ中国系の春蘭も1990年代からRACの現地組立てを続けており、海信も2010年にRACの工場を立ち上げた。

     日本メーカーではシャープのみが大手家電メーカーElarabyとの技術提携によってエアコンや冷蔵庫をシャープ・ブランドで現地生産している。従来は、EU域内生産の全てのタイプの空調機器の輸入関税が4.5%、EU域外生産では30%であったが、今年の1月以降、EU域内生産品の場合に関税が撤廃され、EU域外生産では40%となった。従って、ダイキンのようにEU内に生産拠点を持つメーカーにはビジネスチャンスとなっている。

     今年の6月、ダイキンは、子会社であるダイキンヨーロッパ(DENV)を通してエジプトに合弁販売会社「ダイキンエアコンディショニング・エジプト(DAEG)」を設立した。DENVは、その販売統括子会社「ダイキン中東アフリカ(DAME)」を通じて中東アフリカ地域の主要国での販売体制の確立を急いでいる。

【エアコン市場の将来性】
     エジプトの人口は約9,000万人で一人当たりGDPは約3,700ドル、2015年のエアコン市場の規模は78万台となっている。ベトナムの人口は約9,300万人と同程度だが、一人当たりGDPは約2,100ドルとエジプトの半分近いにも係わらず、2015年のエアコン需要は161万台、2016年は猛暑効果もあって190〜200万台と、エジプトの2.5倍近いと推測される。また、ベトナムのVRF需要は既に1万台近いが、エジプトでは未だ数百台レベルである。

     千年以上の歴史を誇るカイロ市は、中東・北アフリカ全体の首都とも言える情報発信地であり、カイロの中上流階級を描いた映画やテレビドラマを通じて、そのライフスタイルが地域全体の憧れの対象となっている。カイロ市の人口は約800万人だが、近郊も含めた首都圏の都市人口は1,800万人近く、2050年までに4千万人まで増加するという推計もある。

     政府は、その対応策としてカイロとスエズの中間に人口500万人の新首都を建設する構想を検討している。今後5〜7年間に国会・政府機関・各国大使館などを新都市に移転させ、カイロへの一極集中を回避するという。その他にも、オールド・カイロの再開発計画に続いて、8月に完成した第二スエズ運河沿いに建設される「第二のドバイなど首都近郊で大規模な都市開発が並行して行われる予定である。一連の大型都市開発によって、オフィスビル、ショッピングモール、大学、病院、高級住宅などへの新たな建設投資が見込まれるため、今後、空調市場が飛躍的に拡大すると見られている。

     アレキサンドリアなど北部は地中海性気候で、カイロ以南は砂漠気候だが、主要な都市では真夏は35℃程度になり、冬の最低気温も10℃以上である。そのため、欧州向けモデルが市場の主要な地域で使用できる。ヒートポンプ比率は、スプリット型RAC/PACで約90%、VRFでは100%である。また、ウインド型比率は約10%のみ。砂嵐が年に数回発生するので、強烈な日差しや砂嵐に対してパワフルで耐久性のあるエアコンが市場で好まれる。ベトナムではスプリット型RACの約1/3が既にインバーター機に移行しているが、エジプトでは未だ僅か5%程度である。

     エジプト政府は、輸入規制・外資規制を緩和するとともに、赤字財政の再建策として電気料金に対する補助金を削減した。電力省は、8月に住宅用電気料金を50kWh以下の場合で1kWh当り0.075→0.11エジプトポンド(0.012米ドル)まで約1.5倍値上げすると通告した。よって、ユーザーが節電効果の高いインバーター機に関心を示すことは確実であり、今後、高付加価値製品の市場認知度が高くなれば、日本メーカーがエジプト市場に基盤を築くことができ、中東・北アフリカ・南欧の中心に位置するという地理的な優位性を活用し、エジプトを周辺諸国への進出の橋頭堡にすることが期待される。

(終わり)

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